チャーチルのメモ

1940年、壊滅の危機に瀕した英国の宰相の座についたウィンズトン・チャーチルは、政府各部局の長に次のようなメモを送った。

われわれの職務を遂行するには大量の書類を読まねばならぬ。その書類のほとんどすべてが長すぎる。時間が無駄だし、要点を見つけるのに手間がかかる。

同僚諸兄とその部下の方々に、報告書をもっと短くするようにご配慮願いたい。
  1. 報告書は、要点をそれぞれ短い、歯切れのいいパラグラフにまとめて書け。
  2. 複雑な要因の分析にもとづく報告や、統計にもとづく報告では、要因の分析や統計は付録とせよ。
  3. 正式の報告書でなく見出しだけを並べたメモを用意し、必要に応じて口頭でおぎなったほうがいい場合が多い。
  4. 次のような言い方はやめよう:「次の諸点を心に留めておくことも重要である」、「・・・・・・を実行する可能性も考慮すべきである」。この種 のもってまわった言い廻しは埋草にすぎない。省くか、一語で言い切れ。
私のいうように書いた報告書は、一見、官庁用語をならべ立てた文書と比べて荒っぽいかもしれない。しかし、時間はうんと節約できるし、真の要点だけを簡潔 に述べる訓練は考えを明確にするにも役立つ。

「理科系の作文技術」 木下是雄 中公新書より

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