「手帳」、「メモ」、「ノート」という言葉をわれわれが普段いかに適当に使ってきたかを気づかせてくれる本です。
まず、メモは「忘れるために」書くものです。
それに対してノートは「考えるため、理解するために」書くものです。
一方、手帳はあくまで受け皿というか道具の一つに過ぎず、メモにもノートにも使えます。
結局大事なのは、「忘れるため」のメモと「考えるため」のノートなのです。
メモとノートの役割がそういうものだとすると、書き方も当然変わってくるはずです。
忘れるために書くだけなら、単語だけでもいいし、きれいに書く必要もありません。
でも考えるためとなると話は別で、思惟の過程が後からも判るよう、ある程度文章のかたちをとっている必要があります。
というか、文章のかたちにしないと考えることができません。
じゃあ、メモとノートはどう使い分ければいいか?
頭に浮かんだことはどんどんメモにして頭から追い出してしまい、後からそのメモを見てノートにまとめながら考える。
これが本書の勧める方法です。
当たり前のことのようですが、意外にできなかったことです。
それはメモとノートを混同していたからなのです。
大学ノートを買ってきて、そこにアイデアだけ断片的に書きなぐっても、それは単なるメモであってノートではないのです。
メモとノートの違いが分かったとして、それが何になるか?
実はとても大切なことで、メモは後のノートという作業があって初めて生きてくるのです。
今までいっぱい書き溜めたメモが少しも役に立っていないのはノートにすることを怠っていたからなのだと、この本を読んで初めて合点が行きました。
それを気づかせてくれただけでこの本は良書です。
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