私は目が見えません
彼の前には施し用のアルミのお椀が置いてあるのですが、通行人はみな素通り、お椀にコインはいつもほとんど入っていません。
ある日、ブルトンはその下げ札の言葉を変えてみたらどうか、と話しかけました。
物乞いは「旦那のご随意に」。
ブルトンは新しい言葉を書きました。
それからというもの、お椀にコインの雨が降りそそぎ、通行人たちは同情の言葉をかけていくようになりました。
物乞いにもコインの音や優しい声が聞こえます。
数日後、物乞いは「旦那、なんと書いてくださったのですか」。
下げ札にはこう書いてあったそうです。
春はまもなくやってきます。
でも、私はそれを見ることができません。
でも、私はそれを見ることができません。
「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」鈴木康之
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